CentOSは日本では非常にシェアの高いLinuxである。
しかし、その提供が2021年で終了し、プロジェクトの焦点をCentOS Streamへ移すことが発表された。
本調査ではCentOSの発表内容と今後について調査、考察する。
CentOS提供終了! プロジェクトの焦点はCentOS Streamへ
CentOSは非常に有名なLinuxディストリビューションであり、RHELクローンである。オンプレミスでのサーバOSとしての利用はもちろん、AWS, Azure, GCP等の各クラウドベンダもイメージを利用できるようにしており、クラウド上でも広く利用されている。
本OSについて、先日CentOS公式のブログ上で下記の通り、2021年でCent OS 8の提供を終了し、それ以降はプロジェクトの焦点をCentOS Streamへ移すと発表された。
2019年にはScientific Linuxが終了しており、続々とRHELをベースに商標や商用パッケージ等を除去したダウンストリームであるRHELクローンが終了している。
一方で、焦点を移すとされたCentOS StreamはRHELの開発ブランチのSnapshotでありRHELのPublic Betaより先に提供され、RHELと相互にフィードバックされるアップストリームである。ただし、これはFedora程先進的なアップストリームではない。
CentOS提供終了の懸念点と今後 (Rocky LinuxやUbuntuへの切り替えが必要?)
これまでCentOSを個人用途で利用しているのであれば、CentOS Streamへ移行することで大きな問題はないと思われる。
一方で、CentOSをサポート必須でビジネス利用してきたユーザは、今後対応を検討する必要がある。
まず、CentOSをサポートしてきた各ベンダやクラウド事業者が、CentOS Streamも継続してサポート含めて提供するのであれば問題ないが、アップストリームである以上サポート付きの提供がなされない可能性も少なくない。
また、CentOSプロジェクトの共同創設者であるGregory Kurtzerが、CentOSの提供終了を受けて、CentOSの代わりとなるRHELクローン「Rocky Linux」を作ると発表し、2021年6月にリリースした。これを利用するのも良い案と思われる。しかし、ビジネス利用をする決断をするために実績もないため、各利用者は利用にあたって相当の評価は必要となると思われる。
そうなると、商用のRHELを利用するか、サポート付きのUbuntuを利用するかといった、影響が少なくない切り替えが必要となる。
ただし、現在日本での企業においてはRHEL、CentOSのシェアはいまだに高いが、世界的には、だいぶ以前よりDebian系統のUbuntuが高シェアとなっており、CentOS提供終了の背景にもなっていると思われる。
UbuntuはCentOSと同様LinuxディストリビューションではあるがDebian系統であり、RHEL系統であるCentOSとはファイル構成や標準採用ミドルウェア、パッケージ管理等異なり、使い勝手がだいぶ変わる。そして、現在はシェア上からも見てわかる通り、Ubuntuの方が人気の状況となっている。
本状況を鑑みると、このタイミングでUbuntuへの切り替えを検討しても良いと思われる。
NagareLabではRHEL, CentOSよりもUbuntu, Mintを採用したシステムを構築する方が現状多い状況である。